出版を決意するまで
1999年8月27日
インターネットの 『HELLOの5分で出来るホームページ』にて書き始めた『東京タクシー物語』もついに118話を数えました。
当時のHELLOの訪問者履歴は画期的で沢山の方々が掲示板を利用しなくても行き来することが出来ました。
訪問して下さる方々の反応も良くそのお陰もあり、物語を書き続け最初の1ヶ月は休み無く毎日1話づつ書き上げました。プロフィールの中に、『100話書き上げたら出版』という夢を書いた記憶があります。

2004年3月
その書き綴った物語もついに100話を超え、、出版社へホームページを直接印刷して各出版社に打診をしたところ、手ごたえを感じました。中でも文芸社の反応は良く、ホームページの原稿を出版用に書き直し提出致しました。
文芸社からの講評
借金返済のために、上京していきなり縁もゆかりも無いタクシー業界に飛び込んだ著者による体験記風エッセイである。タクシーは多くの人にとって身近な存在であるが、利用させてもらうばかりでその内実についてはほとんど何も知らないのが普通である。著者は自らの体験に基づく嘘のような本当の話を次から次へと披露し読者に運転席から見える光景を擬似的に体験させてくれる。
出だしは華やかだ。冒頭に登場するのは恐いヤクザのお兄さん達である。
続いて3話には、女性が携帯電話で相手と喧嘩をしながら乗り込んで来て電話が終わるとそのまま金を支払わずに降りていってしまう。ある意味では、きわめて都会的とも言えるこれらの光景を著者は親しみやすい文章で、ひとつひとつ面白おかしく書き立てる。
しかし、ただ面白いだけではない。笑わせながらも都会の不条理な現実をあぶり出し愉しい中にも不穏な後味が残るような書き方をしているのだ。そして、この尾を引くような不安感は、終盤に描かれる著者の生まれ育った田舎の素朴な光景と対置される。信じられないような話からいかにもありそうな話まで、幾多ものエピソードが次々と軽妙に語られ、借金返済の苦労話とはいえ重苦しい雰囲気とは一切無縁で、変わることなく笑いを交えながら愉快に語られており清々しい印象を残すほどである。
二種免許を所得する様子は、あまりにもスリリングで一緒に試験を受けているような気にさせてくれる。
しかし何よりも大変さが伝わってくるのは、初めて乗務したときの様子でお客を乗せる度に上野から離れていき、不安とともに心細さを感じる下りが悲しくそして可笑しい。
『やっぱり上野なんだよなぁ〜』 自然と心の拠り所になっている。
という著者のセリフは東京で働く多くの人たちに懐かしい思いを抱かせることだろう。
著者が青春時代を過ごした地域を通りかかり、若かりし頃の記憶が蘇がえるという場面なども同様の人々の心に強く訴えかけるに違いない。この随所にちりばめられた「懐かしさ」が、やがて生まれ育った田舎へ記憶へと収束されていく終盤は、感動的である。
顔合わせ
2004年5月28日 (金) 顔合わせ
講評を書いて下さった出版企画部のS氏からたびたび電話を頂いて、出版の条件などの説明を受け、ついに出版を決意しました。
そして、顔合わせの日取りが5月28日と決まりました。
東京へは深夜バスにて上京しました。
顔合わせの時間は午後1時からでしたので時間まで東京都美術館へ寄り、二度も盗作にあったというフェメールの『画家のアトリエ』を鑑賞しました。素晴らしい絵にとても魅入ってしまいました。
11時頃に山手線にて新宿へ出ました。
プロムナードから丸の内線への改札口へ出ると、27年前の改札口は昔と全然変わっていませんでした。
懐かしい新宿で少し時間を潰し、丸の内線で新宿御苑前へ出ました。
新宿御苑には一度だけ入った事があります。
27年前、高校時代につき合っていた1つ下の彼女が就職で上京してきたときここでデートした想い出の場所でした。

この、新宿御苑の正面に文芸社のビルが見えました。
気持ちを新たに自動ドアを入っていくと、正面に受け付けの女子社員が待ち受けていました。
名前を名乗ると「伺っております」と、相談室に案内されました。
4人掛けの席がおよそ20BOXほどありました。2,3の席で著者と思われる方が担当者と話をしていました。
やがて現れた、編集部のT女史、挨拶も早々に表紙のデザインや帯の文句、その後のスケジュールについてお話を伺いました。
話が進んでいく途中で、原稿の評価と、ここまでお世話をして下さった出版企画部のS氏が席に現れ、想像していたより、とても柔らかい方でとても親しみが持てました。最後に出版統括部のM女史も見えて挨拶をして下さいました。
今後、出版企画部 → 編集部 → 出版統括部へと流れていく旨の説明を受けてビルを後にしました。
ゲラの校正
2004年7月14日 (水) 
最終締め切りの下書きを5月始めに送付してから早2ヶ月。
出版社からゲラが届きました。少しカンゲキした瞬間でした。
中の原稿は276ページ。予想外の枚数に驚きました。
殆どといっていいくらい手が加えられていません。誤字というより、「いう」「言う」「いく」「行く」「あと」「後」「わるい」「悪い」などをどちらかに揃えて下さい、との事。本職なんだからそっちでやってくれても良いものだと思ってしまいました。書き直したゲラを印刷して19日に再送。
もう一度届き、8月12日最終ゲラの発送となりました。締め切りに追われる作家の気分をちょっとだけ味わえた気がしました。
表 紙
2004年8月9日

本の表紙の見本が2種類届きました。
たまたま娘の友達も遊びに来ていましたのでアンケートをとった結果、右の表紙に決定致しました。
後々、とあるネットの本の評価で、この表紙が評価されていたそうです。
製 本 到 着
2004年8月28日

トラック便にて製本が到着。
著者贈呈分の100冊です。
期待で膨らむ胸で箱を開け、出来上がった本を手にすると感激がひしひしと湧いてきました。
出版記念日
2004年10月1日 書店に並びました
大槌マスト店では大宣伝していてくれていました
東京某書店 名古屋某書店
増 刷
いきなりの出版社からのTELでした。
「増刷が決まりました」
とても嬉しい嬉しい電話です。
「校正箇所がありますか?」「ありません」
お陰様で8刷りまで増刷させて頂くことが出来ました。
増刷されるたびに1冊づつ届きます。

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