後山T遺跡
第2次発掘調査現地説明会
2000.8.5
説明会風景
たたら炉跡の説明を受ける沢山の見学者
たたら炉を詳しく説明する担当主事
後山T遺跡の位置と周辺の遺跡 | 今回の調査地は遺跡内で最も標高の高い尾根の南斜面で、標高は最も高いところで約55m、工房跡が集中する部分で約43m、町道が約40となったところです。後山T遺跡の所在は古くから知られており、奈良〜平安時代の人々が使用した土器(土師器・はじき)や砥石が出土したり、竪穴住居が発見されたとの記録があります。また三陸縦貫道路の建設に伴い発掘調査が行われた上村遺跡では、県内最古の製鉄遺跡として話題を呼びました。 |
第1次〜第2次調査にかけて発見された遺構 | 工房跡 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 6ヶ所 |
製鉄炉跡 −−−−−−−−−−−−−−−−− 6基 | |
鍛冶炉跡(精錬炉・小鍛冶炉) −−−−−−−− 10基 | |
捨て場遺構 −−−−−−−−−−−−−−−− 4ヶ所 | |
炭窯(すみがま) −−−−−−−−−−−−−− 15基 | |
時期不明の土坑 −−−−−−−−−−−−−− 9基 | |
製鉄に関する遺構は斜面中腹の造成平場に、炭窯は平場上部の斜面に多く分布しています。 | |
製鉄・鍛冶の工房跡 | 今回検出された工房跡は、6ヶ所とも斜面を切土して造成した平場に位置しています。重なり合うように第7工房跡まで確認されています。特に第3工房跡に作られた第2工房跡の8号製鉄炉(写真参考)は地下構造が良好に保存されていました。遺構の年代は理化学分析(熱残留磁気による年代測定)から12世紀(平安末期・1100年代)の範疇におさまるものと思われます。 |
炭窯(すみがま) | 製鉄や鍛冶を行うためには、大量の炭を必要とします。その炭を生産するために炭窯が作られました。多くは造成平場上部の斜面に分布しますが、平場に作られたものもあります。 |
8号製鉄炉 | 本炉は、製鉄を行う炉と前庭部から成り、規模は長軸約1,8m、炉の直径1,1mです。炉の北側斜面中には約1mの堀込みがあり、フイゴ座があったと想定されます。また炉の下方からは、流動滓や炉壁、羽口が多量に出土しました。 |
8号製鉄炉の構造 | 1 深さ約60cmの土坑を掘り、その後壁を焼き締める。 2 底部に炭、その上に鉄滓と砂の混土を敷く。 3 粘土質の土を貼る 4 炉と前庭部をつくる このようなしっかりとした地下構造をもった事例は県内初です。 |
まとめ | 後山T遺跡は12世紀の製鉄工場とも言うべき内容豊富な遺跡であることが明らかになりました。特に本遺跡最大の特徴である何層にも重複する工房と地下構造が残る製鉄炉については、県内でも同類の調査事例が無いことから、古代の製鉄技術やその変遷を解明する上で貴重な資料になると思われます。 |
後山T遺跡から発掘された出土品
石さじ やじり
土師器(はじき)
弥生時代後期の土器